耐震工事は多くの人に認知された必要不可欠な工事ですが、防水工事となるとあまり必要性を感じにくいのではないでしょうか。しかし、マンションベランダの劣化を放置すると、雨水が室内に侵入する可能性もあります。さらに建物の修繕を疎かにしていると入居率にも影響します。定期的な防水工事は、下地の傷みや雨漏りを防ぐためにも必要です。今回は防水工事の相場感や費用を抑えるためのコツをご紹介いたします!
ベランダはコンクリートや木材でつくられていることが多く、そのため表面は防水加工がされているものの、日頃雨風にさらされている中で防水加工は経年劣化していきます。劣化すると少しずつ雨水が内部に浸透し、内部に浸透した雨水はベランダや陸屋根の経年劣化を加速させます。
防水工事の目的
防水工事の目的は、ベランダの床部分に雨が浸透するのを防ぐために行われます。雨が浸透すると、下の階への雨漏りにつながったり、床材そのものが脆くなることでひび割れにつながったりするためです。
雨漏りの原因トップ10
①外壁(ひび割れ)
②外壁(シーリングの劣化)
③窓枠・サッシ
④屋根(板金)
⑤屋根(屋根材のひび割れ、ずれ)
⑥屋根・外壁(釘穴、ビス穴)
⑦ベランダ(防水層のひび割れ)
⑧ベランダ(排水ドレンの劣化)
⑨ベランダ(手すりやつなぎ目の隙間、シーリングの劣化)
⑩雨どい
原因を探すのは容易ではない
雨漏りの原因を探すのは容易ではありません。雨は数ミリの穴からも侵入します。侵入した雨の逃げ場がないと隙間に流れ、それがいつのまにか「水みち」になります。「水みち」が家屋の木部をじわじわと侵食し、腐敗させるのです。
防水工事のタイミング
一般的に、マンションのベランダ防水の周期は10~15年といわれています。この周期が過ぎると、防水層が劣化しはじめ雨漏りのリスクが高まります。
マンションのベランダは洗濯物を干したり趣味で家庭菜園をしたりなど、さまざまな用途で使用されています。工事期間は10メートル四方程度のベランダにFRP防水工事を施工する場合、1~2日くらいですが、防水工事中はベランダへの出入りができなくなります。そのため、工事前に居住者が注意することがいくつかあります。
ベランダの荷物
ベランダに荷物があると作業の妨げとなってしまうため、片付けておかなければなりません。片付けた私物は各住戸の室内で保管するのが基本です。
物干し竿
もともとマンションの設備として備え付けられていた物干し掛けなどは、施工業者が撤去や再設置を行いますが、自分で設置した自立式の物干し掛けなどは、居住者が移動・撤去を行う必要があるでしょう。
エアコン
エアコンの室外機はそのままで大丈夫です。しかし、エアコン室外機のドレンから排水を外に逃せない場合は、使用を中止しないといけない可能性があります。
網戸
網戸は外さなくても大丈夫ですが、ベランダの修繕が必要な場合は、取り外しが必要になる可能性もあります。
BS・CSアンテナ
アンテナは外す必要がありませんが、マンションの構造や工事内容によって異なるため事前に業者へ確認しましょう。
マンションによっては片付けた私物の保管場所として、管理組合が仮置き場を用意する場合もあります。利用を希望する人は事前に管理組合と仮置き場の設置の有無を確認しておきましょう。いずれにせよ工事が始まるまでにベランダの片付けをしておくことが必要です。
一般的な住宅のベランダ防水工事では「FRP防水」か、「ウレタン防水」という方法が採られます。どちらの方法も戸建て住宅、アパート、マンションなど幅広いタイプの建築物に対応していて、より一般的な工法となっています。
主流の工法は?
ベランダの防水工事では、FRP防水が主流です。下地を整えて接着剤(プライマー)を塗ったうえで、ガラスマットで補強しながら防水塗料を流し込んでいきます。
FRPとは?
「FRP」とは繊維強化プラスチックのことを指し、軽量でありながら耐久性が高いのが主な特徴です。
それぞれどのくらいの費用がかかるか、1㎡あたりの費用相場をご紹介いたします。
●FRP防水…費用相場(1㎡あたり)4000〜7000円
●ウレタン防水…費用相場(1㎡あたり)5000〜8000円
施工業者によって大きく変わってくる費用になりますが、そのほかに必要な経費も参考までにご紹介いたします。
●高圧洗浄…200~300円/㎡
●下地処理…200円/㎡
●下地補修…200~300円/㎡
●廃材処分費用…10,000~30,000円
●管理費(人件費)…10,000~30,000円
●ウレタン防水…費用相場(1㎡あたり)5000〜8000円
●諸経費…10,000~30,000円
費用を抑えるためのコツ
相場から安く抑えるコツは、各家庭がベランダを定期的に掃除することです。ベランダにゴミや葉が放置され、それが排水溝に詰まると、防水層に水が溜まり雨漏りが発生するリスクが高まります。また、小さなゴミや砂などの蓄積も防水層の劣化を早める原因になります。
・複数業者に見積りを取る
工事は複数の業者に相見積もりを依頼しましょう。
・必要のない施工内容が含まれていないか
見積りをする際にどのような施工内容が含まれているのかしっかり確認しましょう。
・閑散期を狙う
閑散期の6〜8月と12〜2月は費用が抑えられる可能性があります。
・火災保険の利用を検討する
自然災害による屋根の損傷から水漏れが発生し、それに伴う防水工事が必要になった場合などは保険が適用される場合があります。
費用を抑えたいがために工事の時期を先延ばしにしていると余計に費用がかさみます。修繕費用を抑えたい場合は、劣化が大きくなる前に、なるべく早めに業者に修繕工事を依頼するようにしましょう。
防水工事は非常に難度が高くDIYで行うのはおすすめしません。水漏れなど大きな問題を事前に防ぐためにも、安心して頼める業者に依頼しましょう。唐澤防水では、ご相談だけでも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。